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『百億の昼と千億の夜』萩尾望都 [マンガ]

『百億の昼と千億の夜』・・・通称『百千』。
私は、萩尾望都の漫画から入りました。


百億の昼と千億の夜 (秋田文庫)

百億の昼と千億の夜 (秋田文庫)

  •  萩尾望都 原作:光瀬龍
  •  秋田書店
  •  1997/04
  •  文庫 451p


この漫画は少年漫画雑誌に連載されていました。

私が通っていた女子高で貸し借りされる漫画雑誌といったら、「花とゆめ」とか「LaLa」などの少女漫画雑誌でした。
ですが、萩尾望都の『百億の昼と千億の夜』連載中だけは、少年誌「少年チャンピオン」がどこか かしこかに置かれていましたね。
教室の後ろとか、地学室の机の中とか・・・。(笑)


第一章「アトランティス幻想」の主人公は、アトランティスの司政官オリオナエ(実はプラトン?)です。
幻の大陸アトランティスは、ポセイドン神の怒りに触れて沈められました。
巨大な支配者ポセイドンが唱えた言葉は・・・・・・。

  新星雲紀 双太陽 青93より黄17の夏
  アスタータ50における惑星開発委員会は
  “シ”の命を受け
  アイ星域第三惑星(※地球のこと)に
  ヘリオ・セス・ベータ型開発を試みることになった

いきなり「惑星委員会」とか「シ」という言葉が出てきて???でしたが、それが、この後、時代と空間(宇宙規模!)を駆け巡って展開される壮大なストーリーの始まりだとは、想像もしませんでした。


第二章「悉達多」の主人公は、シッタータ太子。お釈迦様その人であります。
出家したシッタータが婆羅門(バラモン)の僧侶たちに連れて行かれたのは、天上界。
そこは、もう宇宙空間以外の何物でもありません。
渦状星雲やら熱エントロピーやら・・・。すっかりSFの世界です。

そして、この漫画で私が一番好きなキャラクター、阿修羅王!がこの章で登場します。
阿修羅王・・・この表紙にも書かれているのですが、女性・・・しかも少女です。
阿修羅王は闘いの神です。
きりりと吊り上がった細い眉、カッと見開かれた瞳、大きく開かれた口、怒りの表情!

阿修羅王は、この世界を作ったものが、なぜに
 滅びの伝説・・・この世の終わり(末法、最後の審判)
 救いの神の伝説・・・救世主(弥勒や神)
 その後に訪れるユートピア
という思想を人々に植え付けたのか?
そこに疑心を抱き、その謎を解き明かすために闘ってきたのでした。


オリオナエ(プラトン?)、シッタータ、阿修羅のほかに、梵天王、帝釈天、ナザレのイエス、ユダ・・・そうそうたるメンバーが敵と味方に別れて、地球創生の謎(誰が何の目的で?)を追求していくストーリーが展開されていきます。

 序 章  天地創造
 第1章  アトランティス幻想
 第2章  悉達多
 第3章  梵天 帝釈天
 第4章  阿修羅
 第5章  弥勒
 第6章  ユダとキリスト
 第7章  ゴルゴダの奇跡
 第8章  トーキョー・シティー
 第9章  戦士たち
 第10章 “シ”を追う
 第11章 ゼン・ゼン・シティー
 第12章 コンパートメント
 第13章 ユダの目覚め
 第14章 トバツ市で待つもの
 第15章 摩尼宝殿入り口
 第16章 アスタータ50
 第17章 幻の軍勢
 第18章 遠い道
 終 章  百億の昼と千億の夜

高校時代に連載を追いかけて読んで それきりだったのですが、文庫本になっていたので購入して再読してみました。
今 改めて読んでみても 十分面白かったです。
光瀬龍の原作のほうも再読しようかなと思っています。


こちらが光瀬龍の原作本です。


百億の昼と千億の夜.jpg

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫 JA (6))

  •  光瀬龍
  •  早川書房
  •  1973/04
  •  文庫


萩尾望都の漫画を読んだ後すぐに、この原作を読んだのですが、漫画 → 原作の順番で読んだのは、私にとって正解でした。

と言うのも、私はハードSF(メカニカルで、恒星間飛行などが出てくる、いわゆるSFらしいSF)が苦手なのです。
カタカナや数字の多い専門用語(特に重力だの時空間の歪みだのの物理系!)に、ううっ~(@o@)となってしまいます。

でも、望都さまの『百千』を読んだおかげで、広大な宇宙空間の移動やら、仏法思想の概略やらのイメージがある程度わかった状態で原作を読むことができました。
光瀬龍の原作から読み始めていたら、途中で挫折したかもしれません。(^^;


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コメント 30

caramelpapa


私も、そうでした。
萩尾望都さんから、光瀬龍さん。


エネルギーの循環状態の中に、
このような奇妙な反応組織系が生まれてくるとは思わなかった

これも生物と呼んでよいものなのだろうか


MIBのラストが、発想一緒。

他の日本の作家さんと比べ、あまり作品、読んでいませね。
「夕ばえ作戦」「新宮本武蔵 」「ロン先生の虫眼鏡」くらいかな?

「紐育、宜候」は、
「夕ばえ作戦」に続くんだ気がついた時は興奮しました。

     
by caramelpapa (2008-07-01 00:25) 

たいへー

広大なストーリーなんですね。
松本零士に匹敵する大きさだなぁ・・・

by たいへー (2008-07-01 00:27) 

カオル

こんばんは。
私は原作→漫画の順番で読みました。
原作でイメージがつかめなかったものが、萩尾さんがヴィジュアル化してくれたおかげで「おお、こういうことだったんだ!」と別の感動もありました。

by カオル (2008-07-01 00:42) 

おきざりスゥ。

夢中で読んでいた頃はゼン・ゼン・シティー
で外界を謝絶しコンパートメント
に固執するA級市民に怖気を震ったものでしたが今ネットの面白さに嵌まりPCがwebと断絶していてすらケータイ握って画面を覗き込んでいる自らを省みて10代の自分に済まない思いでいまスゥ。
でも考えたら本と漫画にインターネットが加わっただけで根本的には変わらないのかも…
A級市民に対する感情は単なる自己嫌悪だったのかしら?
by おきざりスゥ。 (2008-07-01 01:07) 

春分

私もゼンゼンシティーの辺りが好きで。あれがあれで(ネタバレ回避)。
もちろん道標も。そして阿修羅王も。
最後のあれなこと(ネタバレ回避)。
ということで「スター・レッド」も書いて下さい。
by 春分 (2008-07-01 08:28) 

春分

当然のことながら、最初の版で持ってます。
by 春分 (2008-07-01 08:28) 

あんみつ

天地創造から終章まで色々ドラマがありそうな漫画ですね。。。
by あんみつ (2008-07-01 11:10) 

しーちゃん

仏教美術や広大な宇宙、おモーさまの絵がとても素敵なマンガですね。
私は敵ながら阿修羅王に好意を寄せる帝釈天が好きです。
ただ、ストーリーや、込められた意味はいまいちよくわかりません。
読了後に、非常に空しい印象で‥‥

光瀬龍の原作も読んでみなくてはと思うのですが、私はSFマンガは
イメージが雄大で、優れた作品があって好きですが、どうも文章となると‥‥
特にハードSFは苦手で、挫折するんですよねー。

『百億の昼と千億の夜』‥‥残りの900億の昼の行方は?(笑)
by しーちゃん (2008-07-01 11:17) 

青い花

私は萩尾望都止まりです・・・^^;
もちろん蔵書しておりますが、もう内容忘れちゃった
引っ張り出してみます★

by 青い花 (2008-07-01 17:40) 

miyuco

そうだ、これ読み返そうと思ってたんだ。
思い出させてくれてありがとうございます^^
阿修羅王は凛々しく美しかったですね。
(そこだけ覚えている^^;)
この頃の萩尾さんの美麗な絵柄が大好きです。
by miyuco (2008-07-01 20:01) 

びっけ

caramelpapa さん、nice!&コメントありがとうございます。
まぁ! 『MIB』のオチって、そうだったんですか!!
実は、『MIB』・・・テレビで途中まで観たものの、描写がグロくて途中で観るのをやめちゃったんです。(^^;

私も光瀬龍の作品で読んだのは、これと『ぬすまれた教室』くらいかな・・・。(^^;
by びっけ (2008-07-01 23:37) 

びっけ

たいへーさん、nice!&コメントありがとうございます。
松本零士の漫画も好きです。
宇宙ものも もちろんですが、『男おいどん』とかも・・・。(^^;

by びっけ (2008-07-01 23:39) 

びっけ

カオルさん、nice!&コメントありがとうございます。
原作から読まれたのですね。さすがです!!
SFの独特の世界観というか移動手段というか、やはりヴィジュアル化してもらわないと理解しにくいですよね。(^^;
萩尾望都の漫画の描写は、私にとっても、的確というか解りやすくて良かったです。(^^)v
by びっけ (2008-07-01 23:46) 

びっけ

おきざりスゥ。さん、nice!&コメントありがとうございます。
ゼン・ゼン・シティーの描写は、私もちょっと嫌悪感を感じましたね。
あれは100%仮想現実に入り込んでるでしょ。
でも、スゥ。さんも私も、現実世界もちゃんと生きているからA級市民とは大違いですよ!
こうしてネットで繋がっているのも、決してヴァーチャルではなくてリアルだもん。
タイムラグこそあれ、中味の濃い?!対話になってるもん!・・・たぶん。(笑)
改めて、これからも、どうぞ、よろしくです。
by びっけ (2008-07-01 23:53) 

びっけ

春分さん、nice!&コメントありがとうございます。
最後は、なんというか無力感と寂寥感を感じつつも、それでも、阿修羅は闘っていくのだろうな・・・と。

『スター・レッド』は途中までしか読んでません。(^^;
by びっけ (2008-07-01 23:58) 

びっけ

あんみつさん、nice!&コメントありがとうございます。
そうなんです、壮大なスケールの物語です。
ついでに書いちゃうと、当時、高校で「倫理・社会」を学んでいたので、プラトンや仏陀やイエスがすごく身近に感じられました。
・・・って、イエスは悪役なんですけどね。(^^;
by びっけ (2008-07-02 00:04) 

びっけ

夢空さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-07-02 00:05) 

びっけ

しーちゃんさん、nice!&コメントありがとうございます。
なるほど帝釈天ですか!
確かに、彼は敵サイドとは言え、懐が深い感じがしますね。
ハードSF・・・本当にどうしてあんなに専門用語が多いんでしょう!!泣き。

百億の昼と千億の夜・・・わたしもこの昼と夜の差が非常に気になってました!!(笑)
ちなみに百億の昼・・・計算すると27,397,261年・・・約 2740万年!!
ハハハ・・・桁が大きすぎて想像すらできませんわ。(^^;
by びっけ (2008-07-02 00:12) 

びっけ

rararinndou さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-07-02 00:13) 

びっけ

青い花さん、nice!&コメントありがとうございます。
この阿修羅のキャラは立っていて、大好きです。
青い花さんも、再読なさったら、きっと気に入っていただけると思います。
(^^)v
by びっけ (2008-07-02 00:15) 

びっけ

miyuco さん、nice!&コメントありがとうございます。
萩尾望都は、オリジナルの漫画ももちろん素晴らしいですが、こうした原作ありの漫画化も、見事に自分のものにしているなぁと、改めて感心しました。
個人的には、レイ・ブラッドベリの作品を萩尾さんが漫画化しているものも好きです。
by びっけ (2008-07-02 00:17) 

caramelpapa


「ウは宇宙船のウ」を描いた人でもありましたね。
  
by caramelpapa (2008-07-02 00:45) 

ミホ

こういう話題を取り上げてくれるびっけさん大好き☆
私もコミック⇒原作の流れで読み、
勢いあまって訳のわからないまま感想文を学校に提出したところ
先生が困ってたのを覚えています(^^ゞ
よく書いたな、あんなの。
そのまた勢いで興福寺まで行きました
すごいミーハーです(笑)

子供の頃は手塚治虫の「火の鳥」と雰囲気が似てると思いましたが
その後「マトリックス」を観たときに「あれ?」と思いました。
多分ゼン・ゼン・シティーの描写ですねえ?
SFではお約束の未来図ですが、やっぱりいやだなぁ。

「スターレッド」もラストはどうしようもないやりきれなさと
妙な安心感を味わえる不思議なストーリーでした。
今読んでも泣きます(笑)

原作物はコクトーの「恐るべき子供たち」が素晴らしいと思いますね。
原作読んでもさっぱりだったのが、納得いきましたもの(^^ゞ
他にも「エッグスタンド」などの戦時下のヨーロッパを描いた短編が切ないけど好きです。
by ミホ (2008-07-02 12:50) 

びっけ

caramelpapa さん、コメントありがとうございます。
ブラッドベリの作品は好きなものが多いのですが、この『ウは宇宙船のウ』と『スは宇宙(スペース)のス』だけは、タイトルが、私にとっては微妙です。
(^^;
by びっけ (2008-07-02 22:02) 

びっけ

薔薇少女さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2008-07-02 22:06) 

びっけ

ミホさん、コメントありがとうございます。
すごい!! 『百千』の読書感想文!!
読ませていただきたいくらいです。

興福寺の阿修羅像は、漫画のそれとは違って、怖いおじさん?!なので、内心ガックリしました。私もミーハーです。(^^;

あぁ! 『マトリックス』! そうですね。
バーチャル世界で人生を全うするのは、哀しいです・・・。(;_;)

ミホさんお薦めの萩尾望都作品、少しずつ読んでいこうかと思います。
ナイス情報ありがとうございます!
by びっけ (2008-07-02 22:12) 

caramelpapa

S is for Space
R is for Rocket

これを、どう邦訳するか、悩んだと思いますよ。
60年代、あんまり格好つけられなかっただろうし。

今だったら、どうするかな?
 
by caramelpapa (2008-07-02 22:27) 

びっけ

caramelpapa さん、コメントありがとうございます。
うーん、悩むところでしょうね。
単純に『スペースのS』とか『ロケットのR』ではダメでしょうかね。(^^;
私は、ブラッドベリの作品では『太陽の黄金の林檎』や『たんぽぽのお酒』、『火星年代記』が大好きです。
これらは、夢やロマンを感じるタイトルだとも思います。
by びっけ (2008-07-03 21:25) 

びっけ

+ k さん、nice!ありがとうございます!
by びっけ (2009-08-02 23:05) 

けろりん

リアルタイムに読んだ世代です。懐かしく拝読させていただきました。ありがとうございます。大学時代に原作も読みましたが、ユダが活躍する漫画版の方が好きでした。ここでは話題上がりませんが、銀の三角が私にとっての萩尾SF最高峰です。
by けろりん (2017-07-23 02:40) 

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